麻生財務相 消費増税の判断時期前倒し 首相は「秋の判断」を堅持
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/26/2013  提供元:エヌピー通信社



 麻生太郎財務相は、来年4月に予定する消費税率5%から8%への引き上げの判断時期の前倒しを打ち出した。「決めるタイミングとしては遅いよりは早い方がいい。(増税)作業の手間を考えれば、早い方が作業しやすい」と述べ、9月5日、6日にロシアで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の前にも決断する考えを示した。G20サミットでは、安倍晋三首相が財政健全化目標を盛り込んだ中期財政計画を報告する予定であることから、財政健全化の前提となる消費増税の最終決定もサミット前に行いたいという考えのようだ。

 一方で安倍首相は、増税の判断時期について参院選後の記者会見で、8月12日に発表される4~6月期の国内総生産(GDP)速報値や、G20サミット後の9月9日発表のGDP改定値など経済指標を踏まえ「秋に判断する」と従来通りの方針を繰り返している。菅義偉官房長官もG20前に消費増税の方向性を決めることは「考えていない」と否定的だ。早く増税を確実なものにしたい財務省と、判断時期に関してフリーハンドを確保したい官邸との綱引きが水面下で活発化している。

 最近、浜田宏一・米エール大名誉教授や本田悦朗・静岡県立大教授という2人の内閣官房参与は、景気の腰折れを防ぐために消費税率を1%ずつ引き上げる案を繰り返し発言している。麻生氏は「国際公約になっている。(予定通り)上げなかったときの方が大きな影響を受ける」として、予定通りの増税実施を強調。「(景気が)落ちるのをなだらかにした方がいい。年明けに補正予算を考える必要がある」と述べ、景気悪化の防止策として来年の通常国会に13年度補正予算の提出を検討していることを明らかにした。