政府税調 所得税改革の議論再開 「税収中立」へ高所得者の負担増か
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/03/2015  提供元:エヌピー通信社



 首相の諮問機関である政府税制調査会(中里実会長)は今月から所得税改革に向けた議論を再開した。配偶者控除などの各種控除について見直しのパッケージが来年夏の中期答申に盛り込まれる見通し。政府は早ければ2017年度税制改正で実施したい考えだ。

 政府税調は昨年11月、配偶者控除について、廃止か所得制限を設ける案、夫婦で受けられる所得控除額か税負担軽減額を一定にする案、配偶者控除に代わる新たな控除を導入する案をまとめた第1次レポートを公表した。それ以降は議論を中断していたが、政府が6月末に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で所得税改革の基本方針が示され、7月2日、約8カ月ぶりに総会を開催した。

 骨太の方針は、安倍政権の「経済成長重視」の方針を税体系にも反映させる姿勢を示したのが特徴だ。経済成長を担う若い世代に焦点を当て、税体系全般の総点検を進めるとしている。低所得者が意欲をもって働きながら結婚・子育てできるよう税制の構造改革を実施する方針だ。

 所得税が「改革の中心」と明記されたのは、基幹3税のうち17年4月に10%に引き上げられる消費税、数年以内に20%台に引き下げられる法人税に対し、所得税だけが抜本的な改革が遅れているためだ。政府税調では配偶者控除だけでなく、扶養控除や社会保険料控除なども含めて全体を見直す議論が今後行われる見通しだ。

 骨太の方針では、増税となる消費税、先行減税が実施された法人税と違い、所得税は「税収中立」が基本とされた。このため、低所得若年層の負担を軽減するには他の層にその分を肩代わりしてもらう必要がある。骨太は「経済力を重視する」と明記しており、政府税調では高所得者の負担増も論点となる。