取り締り・監視強化へ 600人を臨時採用 勧告受ければ宣伝効果抜群!?
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/24/2013  提供元:エヌピー通信社



 「消費税還元セール」などと銘打った安売り禁止を柱とする「消費税転嫁法案」は5月17日、衆院本会議で可決、参院に送付された。民主党の修正案を自民、公明の両党が受け入れたことから、野党が多数を占める参院での審議は順調に進む見通しで、今国会での成立が確実となった。

 法案審議で最大の焦点となったのは、セールの禁止表現の文言だった。政府は当初、消費税という言葉が広告・宣伝に含まれなくても、値引き幅や時期などから判断して広範に規制する方針を示していたが、野党や小売り業者が反発。5月8日に「消費税」という文言などがなければ原則禁止しないとの統一見解を示した。

 5月17日の衆院経済産業委員会では自民、公明、民主が、禁止表現の範囲を条文で厳格化する修正案を提出し、可決した。委員会に出席した安倍晋三首相は「あくまで消費税分を値引きするなどの広告や宣伝を禁止するもので、事業者の努力による価格設定自体を制限するものではない」と述べ、法の成立に理解を求めた。

 政府は、大企業の小売り業者が、中小納入業者に対して増税分の上乗せ(転嫁)を拒否する行為の取り締まりや、セール表現の監視態勢強化のため、約600人を臨時採用する。独占禁止法の分野で著名な立教大法学部の舟田正之名誉教授は「従来の取引の実態をみながら判断しなければならず、かなり難しい仕事で臨時職員ではできない」と述べ、取り締まりの実効性に疑問を呈する。また、違反業者に対して罰金はなく、悪質な場合に会社名が公表されることに対し「初の勧告を受ける業者はニュースになるので宣伝効果は抜群。捨て身の作戦をやる業者は必ずある」(みんなの党の大熊利昭衆院議員)と確信犯的な行為が起きるとの指摘もある。