政府補正予算は地方に重点国債の追加発行はせず
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/23/2015  提供元:エヌピー通信社



 政府は2015年度補正予算案を年末に編成する方針を固めた。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の大筋合意を踏まえた農業対策や景気下支え策などを盛り込み、11月16日発表の7~9月期国内総生産(GDP)速報値の結果を見定めた上で作業を本格化させる。規模感については14年度補正予算(3兆1180億円)を上回らせる案が浮上。自民党の票田である地方対策を充実させ、来夏の参院選対策に万全を期す。

 年明け通常国会に提出し、既に編成作業に入っている16年度当初予算案との一体的な運用を目指す。財源として14年度予算の使い残し(1兆5770億円)や、今年度税収の上振れ分などを活用する方向だ。2015年度までに国内総生産(GDP)比の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を10年度比で半減させる財政運営上の目標を堅持するため、国債の追加発行は避ける。

 TPP関連の農業予算をめぐっては、関税引き下げが始まるまでに数年間の期間が設けられた品目が多いことから「急いで支援策を打つ必要はない」との声も政府内にはある。しかし合意内容が明らかになるにつれ、割安な海外農産物との競争に不安を覚える農家が増えていることから、先行き不安払拭のためにも予算上の措置を急ぐ必要があると判断した。農地の大規模化など「攻めの農業」につながる施策に重点配分する構えだ。

 ほかにも鬼怒川豪雨災害で被害を受けた地域を中心に災害対策事業を行うための予算や、安倍晋三首相が新内閣の「目玉」として掲げた「1億総活躍」社会実現に向けた予算を盛り込む方針。

 また7~9月期GDPは、輸出の低迷などにより2四半期連続のマイナス成長に陥るとの予想が市場関係者の間で広がっている。実際にマイナス成長になった場合、景気の腰折れを防ぐためにも個人消費の喚起策や公共事業関連予算にも手厚く振り向ける方向だ。