外国通貨の製造受託に向け 財務省と造幣局が営業本格化へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:07/20/2012  提供元:エヌピー通信社



 アジアや中近東地域で外国硬貨の製造受託を目指し、財務省と独立行政法人造幣局は9月から営業活動を本格化させる方針だ。日本国内での貨幣の流通量が減少し、貨幣の製造設備に余力が生じているため、設備を有効活用する狙いがある。また、日本の優れた貨幣製造技術をアピールし、海外での受注拡大を目指す。

 財務省と造幣局の職員が9月からミャンマー、ベトナム、サウジアラビアなど14カ国を訪問し、入札に関する情報収集や各国政府に日本の製造技術の売り込みを行う。

 国内では造幣局の東京、大阪、広島の工場で1円から500円まで6種類の貨幣を製造している。しかし、電子マネーの普及などで、貨幣製造量は1974年の約56億万枚から、2011年は約7億万枚と約8分の1に減少した。財務省幹部は「製造設備は稼働率が下がっても維持していかねばならず、効率が悪い」と懸念している。

 これまで日本が海外で硬貨の製造を受注した実績は、ニュージーランドやスリランカの記念貨幣を受注したケースがある程度。バングラディッシュでは今年7月に硬貨の国際入札に参加している。アジアや中近東では、自前の貨幣の製造設備を持たない国も多いうえ、経済成長に伴って、貨幣の需要は大幅に伸びると見込まれており、外国の造幣局などへの発注も増える見通し。ただ日本だけでなく、カナダなどの造幣局も外国に対し製造技術の売り込みを図っている。政府関係者は「日本の貨幣製造技術は優れているが、受注競争は厳しくなっていく」とみており、売り込みが成功するかどうかは不透明な面もある。