F1トヨタ撤退 研究・開発が経営負担に
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/04/2009  提供元:エヌピー通信社



 昨年のホンダに続き、トヨタ自動車がさきごろF1(フォーミュラ1)からの撤退を発表した。撤退理由のひとつが、コストが本業を圧迫したこと。エンジンの開発などに莫大なコストがかかるF1。一般企業でも収益に結びつかない研究開発コストは無視できない支出だ。そのため、税制上の支援策が用意されているが、一部制度については今年度末に期限を迎える。

 技術の開発は、会社発展の肝とはいえ、収益に直結しないために捻出が難しいのはどの会社も同じ。国は各種支援策を用意し、研究開発促進の後押しをしている。

 税制上の支援策としては、「研究開発促進税制」がある。現在、中小企業向けの研究開発促進税制の主なものとしては、一定の青色申告法人に認められる「中小企業技術基盤強化税制」が挙げられる。研究開発費の総額の12%を、法人税額の30%(同23年3月末までの時限措置。本則20%)まで税額控除できるというもの。さらに同税制には、試験研究費を増加させる企業または試験研究費比率が高い企業に対して、税額控除額を上乗せする措置が設けられている。

 この上乗せ措置は今年度末が期限。同22年度税制改正要望では、経済産業省ほか多くの省庁が合同で本措置の延長を要望している。ただし、その内容をみると、今年8月時点に出された要望では、「所要の見直しを行った上で適用期限を延長」となっていたが、政権交代後に再度提出された要望では「所要の見直しを行った上で」の部分は削減された。経産省の担当者によると「政務三役による見直しの結果」とのことで、新税制調査会が「減収の場合は見合い財源を」という「ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則」を打ち出していることが影響したとみられる。

 延長となれば、過去の例では2年ごとの延長となっていたため、ひとまずは同24年3月31日までとなる見込みが強い。