知財権侵害 偽ブランド品など過去最多 市場規模は5千億円超
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/06/2015  提供元:エヌピー通信社



 偽ブランド品など知的財産を侵害する物品の輸入を全国の税関で差し止めた件数が2014年は3万2060件に上ったことが財務省の調査で分かった。13年を14%上回り、統計を開始した1987年以降で過去最多。大半が中国からの持ち込みで、全体の92.2%を占めた。高級ブランドだけでなく、日常品にまで広がっているのが特徴で、取り締まりの強化が求められている。

 品目別で最も多かったのは、ハンドバッグや財布などの「バッグ類」で全体の33.9%。ただ、前年からは12.5%減少。逆にスマートフォン向けケースなどの「携帯電話及び付属品」が全体の9.4%で、前年の2倍以上に急増した。

 近年は知財を侵害する偽物が高級ブランドから日常品にシフトしている。背景には、長引く不況で消費者の低価格志向が広まったことに加え、インターネットの普及に伴って国境を超えた個人レベルの売買が容易になった環境の変化がある。差し止め品の中には、バイクや自転車の部品、赤ちゃんの抱っこひもなど安全の確保が必要な製品にもかかわらず、基準を満たしていない品物もあり、財務省は「消費者の健康や安全を脅かすものにまで権利侵害が広がってきている」(知的財産調査室)と警戒する。

 財務省は差し止め品が本物なら約180億円分に相当すると推計する。ただ、専門家からは「氷山の一角に過ぎない」との見方があり、偽物市場の規模は5000億円以上とみられている。政府は成長戦略でコンテンツ産業を海外に売り込むクールジャパンを推進しているが、「偽物がばっこする国とみられれば日本ブランドの信用力も低下しかねない」との声も出ている。