日航株売却益2000億円弱 復興財源に検討
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/21/2012  提供元:エヌピー通信社



 「復興財源の中で、なるほどこれならというものであれば、被災地に限った使い道もある」。日本航空が東京証券取引所に再上場を果たした19日、安住淳財務相は閣議後会見で日航株の売却益を復興予算に活用することを検討する方針を示した。「被災地に限った」ことを強調し、被災地以外でも活用される復興予算に関する批判をかわそうという狙いも垣間見えた。日航株の売却益から法人税を差し引くと、国庫には2000億円弱が納入される見通し。「復興財源以外に使い道の議論がでているわけがない」(政府関係者)とされており、復興財源に活用することへのハードルはさほど高くないとの見方もある。

 一方、東日本大震災からの被災地の復興が思うように進んでいないとも指摘される中、疑問が生じる復興予算の使い道が明らかになっている。2012年度の復興予算では東京・霞が関の合同庁舎4号館の耐震改修費用に14億円が充てられていた。「国の中枢で必要なものだろう。ただ、被災地に投じる予算に比べれば緊急性があるのだろうか」(自民党議員)との指摘もある。

 2013年度予算の概算要求でも復興費用は2012年度当初予算比2割増の約4.5兆円の要求があった。公共施設耐震工事など全国防災事業について、2012年度予算から倍増の約9500億円が要求された。2011年度補正や2012年度当初で既に18兆円超の復興予算が計上されており、2013年度要求分を加えると約23兆円に膨らむ。財源が確保されている19兆円の枠を超えるのは必至で、今後新たな財源探しが課題になり、財務省は被災地との関連性が疑わしい要求は、厳しく査定していく方針だ。安住財務相は「メディアなどからの批判に耐えていくことは大事なこと。これはおかしいのではという復興事業があれば指摘してほしい」としている。