フォローアップ会議「後任人事にOBが口を出すな!」
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/22/2016  提供元:エヌピー通信社



 企業トップの選任・解任の在り方に関する官民の議論が大詰めを迎えている。金融庁が20日に開いた「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(座長=池尾和人・慶應義塾大学教授)では、とりわけ現職の社長が役員OBらと相談して後任を決める日本企業の慣行に批判が続出。透明な選任プロセスを求める声が相次いだ。

 「現職の社長がOBと相談して後任を決める『OBガバナンス』がはびこっている。経営に責任を負わないOBが選任に影響力を持つのは不健全。絶対に排除すべきだ」。冨山和彦・経営共創基盤CEO(最高経営責任者)は会議でこう強調。会社から独立した立場の社外取締役らも関わる形で、数年程度の時間をかけて公明正大に候補者を絞り込むことが必要だと訴えた。

 川村隆・日立製作所相談役は、取締役会でトップの育成方針を策定し、それに従って複数の社長候補者に関連会社の役員を経験させるなどして競わせ、経験を積ませることが有効との見方を示した。他の委員も「日本的な『禅譲』の時代ではもうない」「適任者がいないか社外にも目を向けるべき」などと社長選びの刷新を求めた。

 一方、経営が悪化した際などのトップ解任については「(検討過程の露見の仕方次第では)社内で内紛が起きていると取られかねない」(田中正明・三菱東京UFJ銀行上級顧問)として、取締役会が経営から独立した立場で慎重に検討すべきだと指摘した。

 「フォローアップ会議」では、旧経営陣らの関与も指摘されている東芝の不正会計問題も踏まえ、企業統治のあり方を見直す議論を進めている。トップの選任・解任プロセスの透明化も含め、取締役会の機能を高める方策について、近く意見書をまとめて公表する見通しだ。