名古屋国税局相続税の収納額23%増
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:08/19/2016  提供元:エヌピー通信社



 名古屋国税局は8月4日、2015年度の国税収納状況を発表し、収納した相続税額が昨年から23・4%増加したことを発表した。また関東信越国税局、大阪国税局がそれぞれ発表した収納状況でも、相続税の収納額が増加傾向にあることが分かった。相続税は15年1月から基礎控除額が引き下げられて裾野が拡大するとともに、最高税率が50%から55%に引き上げられており、増税の影響が数字にも表れた形だ。

 名古屋国税局によれば、15年度に収納した国税は6兆3770億円で、前年から10・6%増えた。収納額は4年連続の増加となる。株高基調の影響を受けて法人税や個人の所得税が堅調に伸びたことに加えて、14年4月から消費税率が8%に引き上げられたことも大きな影響を及ぼした。増税後初めての事業年度を15年度中に終えた法人が多かったことで、消費税の収納額は前年度比22・3%の伸びを示した。

 その消費税よりさらに高い増加率を見せたのが相続税だ。収納額は前年度の2175億8300万円から23・4%増え、2684億6300万円となった。相続税は15年1月に増税され、増税後初の申告期限は同年10月となるため、実質的には今回の数字が〝相続増税元年〟のものだ。基礎控除引き下げと最高税率引き上げによる影響は主に東京都心部の家持ちの納税者などに大きいと見られていたが、増税がそれ以外の地域にも負担増を強いていることが、データ上ではっきり示された形となる。

 また茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野を管轄する関東信越国税局でも、相続税収納額は前年比8・3%と1割近く増えている。相続税や消費税の増加によって、国税全体の収納額も3年連続増加、伸び率は9・7%となり、2年連続で4兆円を突破した。

 現在収納状況が公表されているなかで唯一、大阪国税局では相続税の収納額は前年度から15・9%減少した。ただし前年となる14年度の数字は大口の相続案件が集中したことが原因ともみられ、12年度の2648億円、13年度の3036億円からは増加傾向にあると見ていいだろう。