自民幹部からも沸々と…湧き上がる消費増税延期論
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/29/2016  提供元:エヌピー通信社



 来年4月の消費税率10%への引き上げをめぐり、自民党執行部からも先送り論が出始めた。徐々に「増税延期」の雰囲気が広がりつつあり、衆参同日選の可能性とあいまって、安倍晋三首相の判断に党内の関心が集まっている。

 溝手顕正参院議員会長は3月20日のNHKの討論番組で、消費増税を延期して夏に衆参同日選を行う案に賛成する考えを示した。野党は来年4月の消費増税に反対しており、参院選で争点化するのを回避したいとの思惑がある。稲田朋美政調会長も前日19日の講演で「世界情勢の動向を見ながら消費税の問題を決めないといけない」と述べ、世界経済の情勢が悪化すれば増税を容認する考えを示した。

 首相や経済関係閣僚が出席する「国際金融経済分析会合」でノーベル経済学賞受賞者から増税延期をすべきだとする提言が相次いでおり、自民党内に増税先送り論が広がる要因となっている。

 ただ、増税先送り論が既成事実化すれば、衆参同日選に踏み切るかどうかも含めた首相の判断に影響を及ぼしかねない。執行部には先送り論を懸念する意見もあり、谷垣禎一幹事長は22日の記者会見で、来年4月の消費増税は「既定方針だ」とけん制した。翌23日には佐藤勉国対委員長が講演で「最近の自民党の人たちの言動は少したるんではいないか」と苦言を呈した。

 首相が増税延期の可否を決断するのは、5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の前後になるとの見方が有力視されている。サミットで世界経済の先行き不透明感への対応で国際協調の重要性を確認し、首相が増税延期を決断したうえで、6月1日に衆院解散に踏み切るとのシナリオだ。消費増税をめぐる自民党内の駆け引きはサミットに向けて活発化しそうだ。