「休眠預金」活用へ 超党派議連が法案提出
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/13/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融機関が預かって10年以上取引がない「休眠預金」の活用に向け、超党派の議員連盟が議員立法の策定に向けて調整を加速している。事実上金融機関が利益として計上していた休眠預金を、福祉や教育分野などの支援に使って社会還元を進めることを狙う。早ければ今通常国会での法案提出を目指す方針。

 昨年4月に発足した「休眠預金活用推進議員連盟」(会長・塩崎恭久厚生労働相)には約40人の与野党の国会議員が参加し、議論を続けている。

 議連の検討案では、政府や日銀などが出資している「預金保険機構」に対し、金融機関が休眠預金の運用を委託する。機構は国の認定する「活用団体」へ交付金を支給。活用団体を通じて福祉事業を担うNPO(非営利組織)などに資金を分配する。預金者から払い戻しの請求があれば、金融機関を通じていつでも応じることを原則とする。

 休眠預金は10年以上、出入金の動きがなくて事実上放置された預金。預金者が亡くなるなどして引き出されなくなる例が多く、全国で毎年850億円発生し、払い戻しを考慮しても約500億円残っていた。海外でも同様のお金を慈善団体などの支援に活用する制度があるほか、国内でも、母子家庭や難病患者、障害者などの支援に取り組む団体から休眠預金の活用を訴える声が上がっていた。

 課題になっているのが、支援先の決定方法や透明性の確保だ。預金者の理解を得るには、お金の具体的な配分方法や支援の効果が確認できる仕組み作りも不可欠となる。これまでに議連の議員からも「実際にお金がどう役立っているのか、誰が正当に評価できるのか」などの意見も出ており、与野党間の議論や調整が長引く可能性もある。