軽減税率「外食」の線引きで論戦必至国会答弁で手間取れば法案成立に遅れも
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/25/2015  提供元:エヌピー通信社



 自民、公明両党は消費税の軽減税率を「酒類・外食を除く飲食料品」に適用することを決めたが、適用対象の加工食品と対象外の外食との線引きが早くも問題になっている。軽減税率導入のための消費税法改正案が審議される年明けの通常国会では線引きが論点になるのは確実。政府は国会答弁での混乱を回避するため線引きの明確化を急いでいる。

 財務省は「外食」について、食品衛生法上の飲食店などが「一定の飲食設備のある場所で行う食事の提供」との定義を示した。取引の「場所」と「サービスの提供」に着目した線引きだ。この線引きによると、牛丼屋やファストフード店の「持ち帰り」、そば屋の「出前」、ピザの「宅配」はいずれも、「飲食設備のある場所で行う」に該当しないため、外食には当たらず、軽減税率8%が適用される。コンビニのイートインコーナーでの飲食も、通常のコンビニ商品のサンドイッチなどを食べるだけなら、食事サービスの提供ではなく、外食扱いされない。

 しかし、これらは財務省が与党の決定を受け、急きょ決定したもので、今後、あいまいな例が続出することが予想される。財務省は2016年度税制改正大綱を決定した12月16日、各省庁の担当者を集め、あいまいな事例の洗い出しへの協力を要請した。

 野党は通常国会で、紛らわしい事例が軽減対象になるかどうか質問することで安倍政権を揺さぶる構え。答弁が混乱すれば法案成立が遅れることになりかねず、財務省は「答弁に窮すれば野党に攻め立てられる」(幹部)と危機感を募らせる。同省主税局は例年、税制改正大綱が決定すれば一段落するが、今年は「線引きの勉強が残っている。全然終わった感じがしない」とのぼやきも漏れる。