利払い費7年連続の増加 国債残高は21年度に1000兆円超え
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/01/2013  提供元:エヌピー通信社



 2013年度当初予算の政府案が閣議決定された。過去の借金の利払い費は9兆9027億円となり、前年度当初より481億円の増加となった。国債残高の累増に伴い、利払い費は年々増加傾向。このままだと利払い費が財源を食い潰し、増税しても財政再建は果たせなくなる可能性が高まる。

 7年連続の増加となった利払い費だが、13年度の増加幅は、大方の予想より小幅に止まった。財務省は今回、想定金利を例年の2.0%から1.8%に引き下げることで、利払い費を3000億円程度圧縮する。

 足元の金利は、日銀の金融緩和効果もあって、前年に比べ低下しており、財務省は「金利低下を反映させただけ」と説明するが、安倍政権の掲げる「アベノミクス」は名目3%の経済成長を目指す上げ潮路線。成長率上昇に連れて金利も上昇する可能性が高く、財務省の想定金利引き下げには「目先の数字合わせに走った」と疑問視する声もある。

 ただ、こうした辻褄合わせを迫られているのは、国債残高の増加に歯止めがかからない中、財政運営が危機的な状況に向かいつつあることの裏返しでもある。財務省の試算では、消費税率を10%に引き上げたとしても、財政赤字の状況が続くため、国債残高は21年度には1000兆円を超える見通しだ。利払い費は急増局面に差し掛かっており、そのころには年20兆円を超えると見込まれる。そうなれば、消費税4%分が利払い増加だけで吹き飛び、社会保障制度の充実も何も実現しないことになる。

 こうした事態を避けるには、一刻も早く本格的な財政再建に着手する必要がある。国債残高が増えれば増えるほど、将来の利払い費もかさむためだ。長期安定政権に向かうには、国民受けが悪くとも財政再建に取り組む胆力が求められる。