金融庁が呼び掛け年末資金繰り支援全銀協は積極的な対応姿勢
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/04/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融庁が各金融機関に対し、年末の資金繰りが懸念される中小企業・小規模事業者への円滑な融資の実施を呼び掛けている。景気が緩やかに回復し、倒産件数が減少傾向にある中、企業の成長支援を促したい考えだ。

 民間信用調査会社「東京商工リサーチ」によると、昨年12月の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、前年同月比8・5%(64件)減の686件で、支払いなどで資金需要が高まる12月としては1989年以来25年ぶりに700件を下回る低水準だった。景気対策で実施された公共事業の前倒し発注の影響に加え、「金融機関が中小企業のリスケ要請に応じていることや、年末資金の円滑化が図られたため」(同社)という。
 金融庁は11月30日、金融機関との意見交換会を開催。麻生太郎内閣府特命担当大臣(金融)は業界団体の代表者らを前に「中小企業・小規模事業者にとって資金繰りは極めて大きな要素。万全の対応をお願いしたい」と述べ、事業の成長可能性を積極的に評価した上で融資やコンサルティングを提供するよう求めた。

 全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は「担保や保証に依存せず、目利き力を生かした事業性評価に基づく融資に取り組む」と応じ、全国地方銀行協会の寺沢辰麿会長(横浜銀行頭取)も「年末の資金繰りへの目配りをきめ細かくして柔軟かつ適切に応えたい」と述べ、地域経済や地方創生の観点からも積極的に対応する姿勢を示した。

 一方、政府は中小企業向け融資が焦げついた際に国などが肩代わりする信用保証制度をめぐり、原則として債務の8割を保証している現状から、ベンチャーなど成長企業の保証率を手厚くする一方、創業から時間が経ち経営が安定した企業は引き下げる方向で見直しを進めている。ただ、中小企業では大企業と比べて経営環境が厳しい企業も多く、「融資のハードルとなりかねない見直しには慎重かつ丁寧な議論が不可欠」(地方信金首脳)との声も上がっている。