金融庁 地銀の融資姿勢を聞き取り 調査結果を基に経営改善へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:08/28/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融庁は近く、全国の地方銀行の融資姿勢について、顧客企業約1000社から聞き取り調査を行う。担保や保証ばかりに頼らず事業性評価に基づく融資を実行しているかを調べて結果を公表する。金融庁は人口減少などを受けた地銀の将来的な収益力の低下に危機感を強めており、従来型の硬直的なビジネスモデルを改めさせる狙いがある。

 金融庁によると、地銀の融資姿勢に関する貸出先への大規模な聞き取りは初めて。8月下旬にも始め、各財務局・財務事務所が地域の中核企業や中小企業など約1000社に対し、取引先地銀について

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事業の成長性を重視して融資しているか

(2)

事業支援が経営改善に役立っているか

(3)

期待する金融サービスは何か――などを聞き取る。
別途、数千社にアンケートも行う。結果はまとまり次第公表し、分析や対応策の検討を加えた上で、来年7月にまとめる「金融モニタリングレポート」に盛り込む。

 地銀の経営環境は、大規模な金融緩和で貸し出し利回りの低下が続き、本業の貸し出し収益が伸び悩む傾向にある上、人口減少で地域経済が衰退すれば今後いっそう厳しさを増すことが見込まれる。金融庁の試算では、全地銀の8割で2018年3月期の経常利益が14年3月期より減少し、2割は半減する見通しだ。

 その一方で「中小企業からは依然として『金融機関の対応は変わっていない』『相変わらず担保・保証に依存している』との意見が多く聞かれる」(金融庁幹部)など、一部の地銀では硬直的な融資姿勢も問題視されている。今回の調査で好事例を各行に共有させる一方、担保の有無や財務内容ばかりを重視する旧来の態度を変えない地銀には抜本的な経営改善を求める考えだ。