フィンテックで新サービス「おつり」を自動で資産運用
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/10/2017  提供元:エヌピー通信社



 電子決済で買い物した際の「おつり」を自動的に積み立てて運用するサービスが今春、ITを活用した新たな金融サービス「フィンテック」関連企業から相次ぎ投入される。少額から気軽に資産運用を行える手段を提供することで、若者を中心に投資の裾野を広げる狙いだ。

 「ウェルスナビ」が今春から提供するサービスは、レストランやコンビニで同サービスに対応したクレジットカードや電子マネーを使うと、100円単位で支払ったと仮定した場合に生じる99円以下の「おつり」相当分が自動的に積み立てられる。例えば、180円の買い物をした場合、200円との差額である20円が積み立てに回る仕組みだ。

 積み立てが500円貯まるごとに「ロボットアドバイザー」が投資判断し、世界1万銘柄以上の上場投資信託(ETF)で運用。運用成績は専用のスマートフォン向けアプリで確認できる。同様のサービスはフィンテック企業「TORANOTEC投信投資顧問」も今春提供するほか、米国や英国でも近年相次ぎ投入されている。

 国内では公的年金が先細りする中、政府は国民の自助による資産形成を促すため、「貯蓄から投資」を掲げ、少額からの長期分散・積み立て投資をしやすい制度づくりに着手。金融庁は「投資による成功体験の不足が『貯蓄から投資』の流れが進まない最大の要因」(幹部)とみており、金融業界からも「まず有価証券を持ってもらうことが大事」(資産運用会社首脳)との声が上がる。

 「おつり」投資を通じて、若年層が資産運用をより身近に感じ、さらなる投資に踏み出す好循環を生み出せるか、注目される。