2013年度貿易統計 過去最大13兆7488億円の赤字
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/02/2014  提供元:エヌピー通信社



 財務省が発表した2013年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は13兆7488億円の赤字となった。過去最大だった12年度の8兆1577億円より68.5%も増加し、比較可能な1979年度以降で過去最大を更新した。貿易赤字が3年連続となったのも初めて。生産拠点の海外移転が進み、円安下でも輸出が伸び悩んだうえ、年明け後に消費増税前の駆け込み需要が強まったことも輸入を押し上げた。

 日本の貿易収支は、東京電力福島第1原発事故後の原発停止に伴い、火力発電向け燃料の輸入量が膨らみ、11年度に赤字に転落。その後「アベノミクス」で円安が進むと、輸入額が押し上げられたうえ、国内景気の持ち直しでエネルギー品以外の輸入も増えた。一方、海外生産の進展に加え、新興国企業の台頭に伴う競争力低下もあり、輸出増は限定的だった。仮に事故前のように原発稼働できたとしても収支改善効果は4兆円程度にとどまり、貿易赤字は当面定着しそうだ。

 13年度の円相場の平均レートは1ドル99円97銭と前年度に比べ21.1%の円安・ドル高。輸入は前年度比17.3%増の84兆6053億円と4年連続増加し、過去最大となった。火発燃料の液化天然ガス(LNG)が18.2%増、原粗油は18.4%増。中国からの輸入は過去最大だった。

 輸出は10.8%増の70兆8564億円と3年ぶりに増加。自動車が15.9%、中国向けペットボトル原料など有機化合物が30.9%増えた。

 足元では円安が一服しており、米国景気が堅調なこともあり、市場では「13年度に比べて輸出は多少持ち直し、国内景気も弱まるので赤字幅は縮小する」との見方が多い。ただ、黒字化にはほど遠く、長く輸出で外貨を稼いできた日本の貿易構造は転換を余儀なくされている。