法人実効税率代替財源は未決着で持ち越し 首相20%台への引き下げ表明
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/20/2014  提供元:エヌピー通信社



 政府・与党内で鋭く対立してきた法人税の実効税率(東京都で35.64%)の引き下げを巡る議論は、安倍晋三首相が6月13日に「数年間で20%台に引き下げることを目指す。来年度から開始する」と表明し、決着した。ただ、最大の争点だった代替財源のあり方については、財政規律派と積極減税派で意見が折り合わず、「骨太の方針」では曖昧な表現で妥結。法人減税を巡る「夏の陣」はひとまず痛み分けで終わったが、来年度の税制改正を具体化する「冬の陣」での再燃は必至だ。

 13日に示された骨太素案では、実効税率引き下げの財源について「課税ベース(対象)の拡大等による恒久財源の確保をする」とし、財政規律派の自民党税制調査会や財務省の主張を反映。一方で、甘利明経済再生担当相や経済産業省の求めで「アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造的に改善しつつあることを含め」検討するとの記述も盛り込んだ。景気回復に伴う税収増を減税財源として認めるか否かが焦点だったが、どちらとも読める内容だ。

 来年度の税率の下げ幅や、代替財源の議論は、年末の税制改正議論に先送りされた。自民党税調は秋にも具体論に着手するが、赤字法人にも負担を求める「外形標準課税」の拡大や、租税特別措置の見直しなどにも踏み込む構えで、経済界の反発が想定される。

 年末には消費税率を10%に再引き上げする判断も重なる。来年度の税制改正は「大玉」ぞろいとなる見通しで、議論は大荒れが必至だ。