生活保護制度 見直し難航か 医療費、非受給者との逆転現象
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/26/2012  提供元:エヌピー通信社



 13年度予算編成の焦点の一つになっている、生活保護費の見直しをめぐる議論が活発化している。財務省は、22日に開いた財政制度等審議会の分科会で、食料品などの「生活扶助費」の削減や、全額公費負担となっている医療費の一部自己負担を求める提案をした。

 生活保護費は10年度実績で、医療扶助費が47%、生活扶助費が3分の1、住宅扶助が15%となっている。医療扶助をめぐっては、生活保護受給者の1人あたりの医療費が、一般の人よりも高額なことなどが問題になっている。財務省は医療が無料なことが生活保護受給者を増やす要因になっているとして、医療費の一部自己負担や、価格が安い後発医薬品を受給者に義務づけることなどを提案している。また、食費や光熱費を支給する生活扶助費は、物価が下落しているデフレを反映させるべきとして、基準引き下げを求めた。分科会でも、生活保護受給者の生活費が、受給していない低所得者を上回る「逆転」状態を是正する必要があるとして、物価変動に応じて支給額を改定すべきだとの意見も相次いだ。

 生活保護の年間支給総額は08年のリーマン・ショック後に急増。最近は不正受給が社会問題化している。生活保護などの社会保障の増加が財政の悪化に拍車をかけているとして、政府は8月に閣議決定した来年度予算の概算要求基準で、生活保護制度を見直す方針を示した。しかし、制度見直しの権限を持つ厚生労働省は保護費削減が進みすぎると、病気などを理由に生活保護を受給している人などが最低限の保障ができなくなるとして難色を示している。年末に向けた両省の調整は、政治の思惑も絡みながら、難航も予想される。