金融行政方針を公表市場の成長に重点
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/25/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融庁は9月18日、今事務年度(今年7月~来年6月)の金融行政方針を公表した。銀行や証券、保険会社など金融機関への監督・検査に偏重していたこれまでの内容から、企業統治(コーポレートガバナンス)の改革や会計監査のあり方、資本市場の活性化など幅広い分野に踏み込んだ。同方針の進ちょく状況や実績を評価し、来年6月に「金融レポート(仮称)」として公表、翌事務年度の方針に反映させる。

 同方針は、質の高い金融仲介機能が景気に左右されず発揮されること、金融機関・金融システムの健全性が維持され、市場の公正性・透明性が確保されること――の2点が柱。「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大」を目指すべき姿とした。

 重点施策として

(1)

活力ある資本市場と安定的な資産形成の実現、市場の公正性・透明性の確保

(2)

金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保

(3)

顧客の信頼・安心感の確保

(4)

IT技術の進展による金融業・市場の変革への戦略的な対応

(5)

国際的な課題への戦略的な対応
――を掲げた。

 具体的には、地域金融機関に対して、人口減少や低金利で事業環境が悪化する中でも適切に金融仲介機能を果たしているかを評価する数値指標を新たに導入する方針を明記した。3メガバンクや大手証券グループには、中国の景気減速で世界経済のリスクが高まっていることを踏まえ、自己資本の充実を求めた。東芝の不正会計問題を受け、会計監査の信頼性を確保するため、10月上旬に有識者懇談会を開くなどして監査法人への監督を強化する方針も盛り込んだ。

 金融庁の改革方針も示した。金融行政に対して金融機関から批判や提言を受け付ける窓口を新設するほか、中小企業や外国金融機関への職員派遣も積極的に行う。金融庁は「金融庁の考えを金融機関だけでなく広く国民にオープンにしたい。さまざまな批判を今後の行政に生かしていく」(幹部)としている。