消費税転嫁法が成立 増税分の上乗せ拒否を禁止
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/07/2013  提供元:エヌピー通信社



 「消費税還元セール」などと銘打った安売りを禁止する「消費税転嫁法案」が5日、参院本会議で可決、成立した。法律上でも、来年4月に予定される現在の5%から8%への消費税率引き上げに向けた環境整備が整った形だ。安倍晋三首相は、4日の参院経済産業委員会で消費税率引き上げについて「引き上げの半年前に名目や実質の成長率、物価動向などの経済指標を見ながら、国民生活への影響も考えて総合的に判断する」と述べ、従来通り10月ごろに判断する考えを示した。

 消費税転嫁法は、大手スーパーなどの小売り業者が中小の納入業者に対して増税分の上乗せを拒否することを禁止すること、前回の増税時にみられた「消費税還元セール」などの文言を広告・宣伝に使ったセールを禁止すること、現在の内税方式(税込み価格表示)に対して17年3月まで時限的に外税方式(税抜き価格表示)を認めること、中小企業団体などがそろって増税分を価格転嫁したり価格表示の方法を統一したりする「転嫁カルテル」や「表示カルテル」を認めること―が柱となっている。

 消費税還元セールの禁止では、当初は幅広く規制することも検討していたが、野党や小売り業者の反発に配慮して、「消費税」という文言を使わないセールは原則認めることになった。このため、消費増税分に相当する「3%値引き」や、増税時期と重なる「春の生活応援セール」などは実施できるようになった。政府は夏頃までに、禁止されるセールの文言や、転嫁拒否の実例や定めるガイドラインを作成するほか、取り締まりや監視強化のために臨時職員を約600人採用する。違反には罰金はないが、悪質な場合は業者名を公表する。