2015年度税制改正 地方移転企業に税優遇 法人税軽減など検討
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/05/2014  提供元:エヌピー通信社



 菅義偉官房長官は12月1日の記者会見で、安倍政権が目玉政策として掲げる地方創生に関連し「企業が地方に本社機能を移したり、工場を新設したりする環境を作るのに何が一番大切か。税制は大きな一つ(の要因)になる」と述べ、東京一極集中の企業立地を是正し、首都圏から地方への移転を促すための優遇税制を検討していることを明らかにした。

 全国知事会は11月に発表した「地方創生のための提言(各論)」で、人口減少対策として「地方への人の流れを作る税制」が必要と指摘。2015年度税制改正で、東京圏から地方に本社機能や研究開発拠点を移す企業について、税の軽減制度を創設するよう求めた。

 菅氏は記者会見で「知事会を中心に要望があり、それも含めて何が一番効果的か勉強させている」と説明。今後の検討では、地方移転した企業の法人税(国税)や法人事業税(地方税)の軽減、地方で土地や建物・設備を取得した企業を対象とした固定資産税の減免措置などが浮上する可能性がある。

 自民、公明両党の税制調査会は衆院選のため活動を休止しているが、14日の投開票後ただちに幹部会を再開する方針だ。15年度税制改正では、消費税率10%への引き上げが先送りされたことに伴い、地方税の偏在是正措置の具体化などは先送りされることになったが、菅氏の発言に伴い、地方創生に絡んだ税制改正の具体化が焦点となりそうだ。

 ただ、自民党税調内には「何でも税制に頼るようなやり方は良くない。財源の問題もある」(幹部)と慎重論もくすぶる。一方、地方創生は先の臨時国会で「まち・ひと・しごと創生」関連法が成立したが具体策に乏しく、首相官邸や政府側が目玉として優遇税制を後押しする可能性があり、落としどころが注目される。