財務省診療報酬8年ぶりのマイナス改定へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/06/2015  提供元:エヌピー通信社



 財務省は2016年度予算編成の焦点となる診療報酬改定に向けた厚生労働省との交渉方針を固めた。調剤報酬など「薬」に関わる分野に大ナタをふるい、一般会計の3割超を占める社会保障費抑制に向け8年ぶりのマイナス改定実現を目指す。もっとも、日本医師会や薬剤師会が反発するのは必至で、診療報酬改定交渉は難航を極めそうだ。

 診療報酬は医師、薬剤師などの技術料に当たる「本体」と「薬価」とに分かれるが、今回は両方の引き下げを求める方針。近年の改定では薬価引き下げが常態化する一方、本体は増額が続いており、本体もマイナスになれば10年ぶり。具体的な引き下げ要求幅は月内にも固める。

 改定交渉における本丸と位置づけるのが、薬局への調剤報酬だ。薬局は、病院から独立した患者本位の服薬指導を進めることを目的とした「医薬分業」を追い風に、コンビニエンスストアを上回る全国約5万7000店に増えた。しかし増加分の多くが大病院に隣接し、処方箋通りに処方する「門前薬局」であるなど、目的通りの成果を生んでいるとは言い難い。そこで多くの薬を処方するほどもうかる仕組みを改め、持病がいくつもあって複数の医師から似た薬が処方される患者に対し「この薬は不要ですね」と言えるような患者と保険財政本位の薬局を優遇する報酬体系への変革を目指す。

 安価な後発薬(ジェネリック薬)がありながらシェアが落ちない特許切れ先発薬の薬価引き下げも提案。将来的には後発薬の価格までしか保険適用を認めず、特許切れ先発薬との差額は自己負担とすることを求める。湿布など処方箋なしでも買える市販品類似薬は保険の適用外とすべきとし、看護師が過度に多い病床への優遇要件を厳格化するなどして病床配置の適正化を進めることも求める。