G20財務省・中銀総裁会議 〝円安誘導〟で共同声明を発表
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/15/2013  提供元:エヌピー通信社



 2月15、16日にモスクワで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議を前に、先進7カ国(G7)の財務相と中央銀行総裁は、「われわれの財政・金融政策は国内目的の達成に向けられており、為替レートを目標にしない」との共同声明を発表した。安倍晋三政権の掲げる大胆な金融緩和政策に対し、円安誘導ではないかとの不満が一部の国から出ていることを踏まえ、為替操作を明確に否定。G7で一致して通貨安競争への懸念の解消を表明することで、G20での円安に対する批判を和らげる狙いがある。

 麻生太郎財務相は発表後、記者団に「日本がデフレ不況対策でやった政策が(国内目的のためで)為替相場目的ではないことが各国に正しく認識された」と説明。外国為替市場では昨年11月以降、「日銀が強力な金融緩和を行う」との見方が強まり、急速に円安が進行。欧州や新興国から「通貨安競争につながる」との声が上がっていた。

 とはいえ、声明をまとめたことで、今後も各国が日本が金融緩和を進めて円安が進行することを容認したことにはならない。日米欧などが金融緩和を続ければ、余剰マネーは新興国に流れ込んでその国の通貨高を誘発させ、貿易などが冷え込み、世界経済の回復の流れを腰折れさせることにもなりかねない。

 安倍政権の掲げる「アベノミクス」は金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢からなっている。海外勢から日本の金融政策に不満が出始めると、株高を推進してきたアベノミクスにも黄信号がともり始めることになりそうだ。