15年度予算プロ向けファンド規制強化 1億円以上の富裕層に限定
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/23/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融庁は1月19日、簡易な届け出で投資資金を集められる「プロ向けファンド」の規制のあり方を検討する作業部会を開き、新たな規制強化策をまとめた。制度の悪用を防ぐため、現行よりも販売できる投資家の条件を狭めるほか、金融庁が業務停止命令などを行えるようにする方針。同庁は今月召集予定の通常国会で必要な金融商品取引法改正案を提出し、早期の施行を目指す。

 この制度は、ベンチャー企業が資金調達をしやすくすることなどが目的とされる。販売相手に証券会社などの投資の専門家が1人いれば、49人以内の一般個人からも出資を募ることができる。

 今回の規制強化策では、ファンドの販売先について、金融資産が1億円以上ある富裕層などに限定する。また、金融庁が届出業者に対して業務の停止命令や改善命令などの行政処分を出せるように改める。

 これまで金融庁には14年8月までに約3000件のファンドの届出があった。しかし、投資経験の少ない高齢の顧客に虚偽の説明をしたり、適正な資金管理をしていなかったりする例が相次いで発覚した。金融庁が業務を問題視した業者は2割弱にも上る。

 このため金融庁は5月、最初の規制強化案を示して意見を募った。しかし、「個人への販売を原則禁止すべき」、「規制が厳しすぎる」など賛否両論が寄せられ、有識者らを集めた作業部会で再検討していた。

 業者を事前に審査する登録制に変更する議論もあったが、ファンド関係者から「参入が難しくなる」などと反発もあり、届け出制は維持する方針。また、ベンチャー企業に投資するファンドは一部要件をゆるめて、資金集めを妨げないように配慮する考えだ。