共有持分の取得を理由に不動産取得税の賦課処分は適法と判断
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:07/21/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 都税事務所が権利変換期日に土地を取得したと判断、市街地再開発組合事業の施行者に対して不動産取得税の賦課処分をしたことの可否が争われた事件で、東京地裁(谷口豊裁判長)は施行者が権利変換期日に共有持分を取得したと認定、その共有持分の取得が地方税法73条の2第1項の「不動産の取得者」に当たることを前提にされた賦課処分は適法と判示して、訴えを棄却する判決を言い渡した。

 この事件は、不動産取得税を賦課された施行者が、賦課処分前の権利変換計画変更の認可によって組合員としての地位を喪失、新たに参加組合員となって権利変換期日に土地の共有持分を原始取得したのであるから、当初より共有持分を取得していなかったと主張、都税事務所に対して賦課処分の取消しを求めて提訴した事案。施行者は、不動産登記簿上、更正登記による所有権保存登記の付記登記によって抹消された上、新たな参加組合員の法人の所有権保存登記がされたのであるから、権利を取得していない旨の主張を展開した。

 しかし判決は、地方税法73条の2第1項の「不動産の取得」とは不動産所有権の取得を意味し、その取得が認められる以上、取得原因の如何を問わず、所有権の得喪に関する法律効果の側面からではなく、経過的事実に即して捉えた所有権取得の事実をいうと解釈。また、取得の原因となった法律行為の取消し、解除等により覆されたかどうかには関わりがないとも解釈した。

 その結果、参加組合員は施設建築敷地の共有持分を権利変換期日に原始取得すると解するのが相当と指摘するとともに、所有権の得喪に関する法律効果の側面からは、権利変換計画変更の認可に伴う権利変換期日に共有持分を取得していなかったとはいえるものの、経過的事実からは権利変換期日から権利変換計画の変更の認可がされるまでの間、共有持分を保有していた事実関係があったのは明らかと認定した。結局、共有持分の取得が認められる以上、不動産取得税の賦課処分は適法であると判示、施行者側の訴えを棄却した。

 (2014.12.12東京地裁判決、平成25年(行ウ)第735号)