賦課決定処分時に登記等があれば固定資産税等の賦課は妥当
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:11/25/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 賦課期日時点で登記簿等への登記・登録がされていなければ固定資産税の納税義務を負う必要がないか否かの判断が争われた事件で、最高裁(横田尤孝裁判長)は納税者側の主張を認容した控訴審を破棄、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記・登録されていれば固定資産税等の納税義務を負うと解釈するのが相当と判示して、棄却した。

 この事件は、自己所有の家屋に係る固定資産税等の賦課決定処分を受けた納税者が、固定資産税等の賦課期日つまり1月1日時点に、登記簿や家屋補充課税台帳に所有者としての登記・登録がされていなかったことを理由に、固定資産税等の賦課決定処分は違法であると主張して、自治体を相手にその取消しを求めて提訴したのが発端となった。

 つまり、年末に家屋を新築・取得したものの、賦課期日時点では取得登記をしていなかったため、課税台帳にも登録されず、翌年秋頃における家屋の取得登記を受け、自治体側が賦課決定の争われた年度の家屋補充課税台帳に所要事項の登録をしたという事案である。

 一審は納税者側の請求を斥けたものの、控訴審は賦課期日時点において登記簿等に登記・登録されていない限り、家屋の所有者として固定資産税等の納税義務を負う者には該当しないと判示、納税者側の主張を全面的に認容したため、自治体側が控訴審判決の取消しを求めて上告したわけだ。

 これに対して最高裁は、賦課期日時点における登記又は登録の具備が固定資産税等の賦課要件ではないと解釈。その結果、土地又は家屋は、賦課期日時点において登記簿や補充課税台帳に登記・登録がされていない場合でも、賦課決定処分時までに賦課期日現在の所有者として登記・登録されている者は、その賦課期日年度における固定資産税等の納税義務を負うと解するのが相当であると判示、納税者側の請求を棄却した第一審判決の判断が正当である旨の判決を裁判官全員一致の意見で言い渡した。

(2014.09.25最高裁第一小法廷判決、平成25年(行ヒ)第35号)