審査決定の取消判決の内容は一部取消判決が相当と判示
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:02/19/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 固定資産税の審査決定の一部が取り消された判決が一部取消判決となるのか全部取消判決となるのかその判断が争われた審査決定取消請求控訴事件で、東京高裁(新村正人裁判長)は、全部取消判決とすると納税者に重ねて同じ手続きを強いるとともに紛争の司法的解決を遅らせることにもなると判示、適正な時価を超える部分を違法として取り消せば足りる旨の判決を下した。

 この事件は、固定資産税の審査決定の取消しを求めた訴訟で、一審が納税者の主張を一部認容する判決を下したことから、東京都の固定資産評価審査委員会が控訴していた事件で、固定資産評価審査委員会の決定額の一部を否定して下した原審判決の認定額は、適正な時価を超えると判断した部分だけを取り消せばいいのか、それとも同決定の全部を取り消した上で、判決理由に従って審査申出に対する評定をやり直さなければならないのか否かが争われていたという事案だ。

 納税者サイドは、画地の認定自体に誤りがあって違法とされたのであるから、改めて不整形地の補正の必要性などを検討しなければならず、事務手続きが煩瑣になるかどうかとは無関係であり、一部取消判決によって紛争が終了するものではないと主張した。

 しかし控訴審は、裁判所が適正な価格を設定して、登録価格がこれを超えることを理由に審査決定を違法とするときは、その超える部分のみの審査決定を取り消すいわゆる一部取消判決をするのが相当であると判断、裁判所の認定額がある以上、改めて審査申出を審査させる実益がないという判断を下した。なお、画地の審査決定の取消請求については、納税者の主張を全面的に認容、登録価格を是正する判決を下した。

(2001.12.26 東京高裁判決、平成13年(行コ)第97号)