固定資産税等の減免は条例により定められるべきと判示
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:10/05/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 固定資産税等が一部減免された相続税の物納許可決定土地をめぐり、相続税の物納を理由にさらに全額減免を求めた訴訟で、控訴審の東京高裁(鈴木健太裁判長)は賦課期日後に所有権を失った者に対してどのような減免措置をとるかも条例によって定められるべきことであり、市税条例及び市税規則に基づいて年税額の10分の7の額の限度で減免許可決定処分をしたことに何ら違法はないと判示、原審と同様、納税者側の主張を棄却した。

 この事件は、相続で取得した土地の賦課期日において所有名義人であった納税者が、後日その土地が相続税の物納許可決定を受けたことを理由に、固定資産税等の減免申請をしたところ、自治体側が年税額の10分の7について減免許可決定したことが発端になったもの。

 これに対して納税者側が物納許可決定によって所有権が国に移転している事実を自治体側は賦課決定処分をした時点で認識していたはずであると主張して、固定資産税等の一部減免許可決定処分を取り消した上で、減免した部分を除く全額の減免許可決定処分の義務付けを求めたところ、原審の横浜地裁が納税者側の主張を全面的に斥けたため控訴の上、さらにその取消しを求めていたという事案だ。

 これに対して控訴審は、賦課期日後に物納があった場合、どのような減免措置をとるかは立法政策の問題であるところ、地方税法上一義的な定めはなく、市町村長の裁量的判断に委ねられており、市税条例及び市税規則もそれを前提に規定されていると判示した原審の判断を支持。つまり、地方税法は納税義務者が賦課期日後に所有権を失った者に、どのような措置をとるかも、条例によって定められるべきであるから、市税条例及び市税規則に基づいて固定資産税等の年税額の10分の7の額の限度で減免を許可した減免許可決定処分には何ら違法はないと判示、原審と同様に、納税者側の主張を退けている。

(東京高裁平成21年12月16日判決、平成20年(行コ)第279号)