神奈川県臨時特例企業税に最高裁が違法・無効判決
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:03/25/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 神奈川県が2001年に創設した臨時特例企業税は地方税法に違反し無効だとして県内の大手自動車会社が県を訴えていた裁判で、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は21日、課税は違法と判断、県側勝訴の東京高裁判決を破棄して原告が県に納税した全額の返還を命じる判決を下した。

 地方税法は法人事業税の繰越控除を認めているが、臨特企業税は資本金5億円以上の法人が赤字の場合でも、欠損金を損金算入しないものとする課税標準を定めて課税していた。

 第一審の横浜地裁は地方税法に違反すると判断したが、控訴審の東京高裁は、課税は繰越控除をする前の所得に課税するもので適法との逆転判決を下していた。

 今回の上告審判決は、地方自治体の独自課税が違法とされたことに意味がある。課税の背景には、地方分権時代を迎えて地方税法に定める税目以外の独自課税が盛んになったことや、企業収益のいかんに関わらず自治体の行政サービスに対して一定の負担を求めようとする動きがある。

 東京都が2000年に創設した「銀行税」も同じ文脈で捉えることができる。今回の判決は、そうした流れに司法がクギをさしたかたちとなり、当事者の課税自治体はもちろん、地方税を管轄し法定外税に同意した総務相にとっても重い判決といえる。

 神奈川県はこれまでに1700社から計480億円あまりを徴収済み。判決を受けて県は「この司法判断を重く受け止め、既にお納めいただいた臨時特例企業税について、過去10年に遡り、速やかに返還していきたいと考えています」と表明した。

(最高裁平成25年3月21日判決、平成22年(行ヒ)第242号)