公益のための直接専用でないため固定資産税の減免は違法
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:06/06/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 自治体が朝鮮総連会館のある土地の所有者に行った固定資産税と都市計画税の減免措置の取消しと無効確認等を住民が求めた事件で、福岡高裁(中山弘幸裁判長)は土地の所有者が減免措置の対象となる特別の事情がある者でないこと、また減免対象となる建物を直接専用する者にも該当しないことが明らかであるため減免措置は違法と判断、住民の請求を全面的に棄却した原審の熊本地裁の判決内容を変更する旨の判決を下した。

 この事件は、熊本市が朝鮮総連会館の建っている土地の所有者に対し、公民館類似施設に該当すると判断して公益性を認め、固定資産税等を減免したことが発端。この減免措置に対して、同市内に住む住民が、減免措置対象部分は経済的に納税が不能・困難な要件を満たしていない、さらに公民館と同程度の公益目的、公益性を有していないから違法と主張してその取消しを求めて提訴したところ、熊本地裁が棄却したため、控訴して再度その取消しを求めていたという事案だ。

 自治体側は、減免措置の特別の事情の解釈にあたっては経済的な要素を考慮する必要はなく、公益上の必要がある者も含まれるが、減免対象部分は公民館類似施設に該当するから、減免措置は適法であると反論していた。

 控訴審は、事実認定の上、元々、土地の所有者は減免対象部分を公益のために直接専用する者には該当しないのであるから既に減免措置は違法と一蹴。また、朝鮮総連の活動が我が国社会一般の利益のために行われていないから、地方税法等が定める固定資産税の減免事由が存在するとは認められないと判断、原審の判断を変更したが、減免対象部分に対する徴収権不行使の違法確認請求には理由がないと指摘して、住民の主張を斥けている。

(2006.02.02福岡高裁判決、平成17年(行コ)第12号)