市民税等の賦課決定は期間経過後と認定、最高裁が原審判断を否定
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:09/01/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 同府県民税及び市町村民税の所得割に係る賦課決定が法定期間内にされたものか否かの判断が争われた事件で、最高裁(大谷剛彦裁判長)はいずれの処分も法定期間の徒過後にされた違法なものであると認定、納税者側の主張を斥けた二審の判決を破棄するとともに一審判決を取り消した上で、納税者側の主張を容認する判決を言い渡した。

 この事件は、市民税及び県民税の所得割を増加させる賦課決定処分を受けた納税者が、各処分が法定の期間制限徒過後になされたものであるから違法であると主張して提訴したところ、一審・二審とも期間制限の特例が適用される適法な処分と認定して納税者側の請求を棄却してきたため、更にその取消しを求め上告していたという事案である。

 市民税等の所得割を増加させる賦課決定は、法定納期限の翌日から起算して3年経過後はできない(地法17の5(1))。その一方で、所得税に係る更正や決定があった場合は更正や決定の通知が発せられた日の翌日から2年以内、不服申立てや訴えに係る決定、裁決や判決があった場合は、その翌日から2年以内であれば賦課決定できる旨の特例も設けられている(地法17の6(3)一、三)。

 つまり、課税処分の取消訴訟で棄却された判決の確定後に賦課決定処分されたものだが、その日が市民税等の納期限の翌日から3年経過後、所得税に係る更正の通知が発せられた日の翌日から2年経過後、判決確定の日の翌日から2年経過前という事実関係から、原審は、地方税法17条の6第3項3号が定める期間制限の特例が適用され、所定の期間内にされたものであるから適法と判断、納税者の主張を斥けたわけだ。

 しかし最高裁は、市町村民税等の所得割に係る賦課決定の期間制限の特例を定めた同号の所得税に係る不服申立て又は訴えに係る決定、裁決又は判決があった場合とは、所得税の課税標準に異動を生じさせ、その異動の結果に従って市町村民税等の所得割を増減させる賦課決定をすべき必要を生じさせる判決等があった場合をいうと解釈。その上で、賦課決定は地方税法17条の5第1項が定める期間の徒過後、かつ同法17条の6第3項1号が定める特例の期間経過後にされたものであると認定、納税者の請求を認容する判決を言い渡した。

(2015.05.26最高裁第三小法定判決、平成24年(行ヒ)第368号)