納税組合への補助金に初の違法判決
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:03/30/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 地方税の納税の便宜を図る団体である法定外(任意)の納税組合に対する自治体の補助金交付の是非を争う裁判の判決がこのほど横浜地裁で下され、交付は違法との判断が全国で初めて示された。
 この事件は、神奈川県の小田原市民が市長を相手どって訴えていたもの、その訴えの概要は、市長の委任を受けた同市収納課長が市の「納税貯蓄組合奨励金支給要綱」に基づいて平成7年度に支出した3195万円余が、納税貯蓄組合法第10条1項等に定める交付の要件である「組合の事務費を補う目的」及び「組合が使用した費用の金額を限度とする」範囲を逸脱し、市税の納期内納付率が一定割合以上であることのみをもって基準とされ支給されており、したがって奨励金の支出も違法であるとしていたものだ。
 これに対して被告・市長側は、要綱は組合が納税意識の高揚を図る等納付率の向上に貢献していることに対して支給することを定めたもので、これら事務に要する事務は同法でいう「組合の事務」にはあたらず、また、支給は地方自治法232条の2の「公益上必要がある場合」に該当し、適法である等と主張した。
 判決は、原告の訴えを全面的に認め、被告の主張はいずれも法10条1項の適用が及ぶ範囲であり、理由がないと斥けた。
 全国の自治体では、税の徴収率の維持のためこうした納税組合に対する補助金(奨励金)を交付しているところが多く、また組合規程やその運営も小田原市と同様の傾向にあることから、今後波紋が大きく広がることは必至と見られている。