ペット等の遺骨の保管施設は宗教施設と判示、寺院側が逆転勝訴
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:03/04/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 ペット等の遺骨の保管施設が宗教施設か否か、つまり固定資産税の賦課が妥当か否かの判断が争われた事件で、東京高裁(一宮なほみ裁判長)は一審判決を否定、江戸時代からの動物供養の歴史や地域住民から信仰の対象とされてきた経緯を踏まえ宗教施設に当たると判示、寺院側の主張を認める逆転判決を下した。

 この事件は、宗教法人がペット等の遺骨を収蔵保管している建物とその敷地相当部分の土地が、「宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地」に該当して非課税となるか否か、つまり固定資産税等が非課税となるか否かが争われていたもので、寺院側が一審で敗訴したため控訴していた事案だ。

 東京都側は、人と動物に対する供養では社会的評価において顕著な差異があり、宗教的意義を有する行為でも民間業者が実施する収益活動類似の行為に供する資産は宗教活動本来の用に供するものとはいえないと反論、控訴棄却を求めていた。

 控訴審はまず、宗教法人が江戸時代から動物を回向し、境内地には猫塚、庸犬八の塚、オットセイの供養塔、動物慰霊の碑、小鳥供養塔等が混在していると認定。その上で、地方税法348条2項3号の非課税の境内建物・境内地に該当するか否かは、その使用の実態を社会通念に照らして客観的に判断すべきであると示唆。

 その結果、1)江戸時代の開祖依頼、動物の供養を行ってきた、2)控訴人の動物供養が庶民の信仰の対象になってきたこと等々が認められ、宗教活動に欠くことのできないものであるから、非課税の境内建物、境内地に該当すると判断、一審判決を否定した。これに対して都側は上告した模様だ。

(平成20年1月23日東京高裁判決、平成18(行コ)第112号)