固定資産税審査決定取消請求事件で逆転判決
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:01/26/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 仙台高裁で争われていた固定資産税の不服審査の棄却決定をめぐる裁判で、高裁は地裁判断を覆して原告側の訴えを認め、審査委員会の棄却決定を取り消す判決を言い渡した。
 そもそもこの事件は、平成3年の固定資産税評価替えにおいて、福島県郡山市の市民ら4名が、評価額が高すぎる等として市の審査委員会に対して審査申出を行ったところ、いずれも棄却決定を受け、審査手続の違法と審理不尽の違法を理由として提訴していたもの。
 主な争点は、原告側の口頭審理の申請に対して、委員会が一方的に期日指定し、かつ延期の申立を認めず、口頭審理を受ける機会を奪ったとされること、また、委員会が市長から評価の算定資料を提出させることもなく、その答弁書のみをもって決定処分を下したとされることなどだった。
 一審・福島地裁は、いずれの点も違法性はないと判断、訴えを棄却していたが、仙台高裁は、被控訴人が控訴人に対して手続を尽くしたといえないこと、また審理内容の点では行政庁のした処分を鵜呑みにするような審査・判断をすることは違法だとして原判決を取り消し、委員会の決定を取り消した。
 全国の市町村に設置される審査委員会は、これまでともすれば名誉職的なものと受け止められがちで、その判断も課税庁寄りという判断がなされることが多かった。事務局職員も含めて第三者機関としての中立性を持つようにと国からも一昨年通達が発出されたなかにあって、象徴的な今回の判決だったといえよう。