納税猶予制度が改正、要件緩和で身近に
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:04/14/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 贈与税の納税猶予を受けるためには、贈与者の推定相続人の1人で、1)贈与を受けた日の年齢が18歳以上であること、2)贈与を受けた日まで引き続き3年以上農業に従事していたこと、3)贈与を受けた後、速やかにその農地および採草放牧地によって農業経営を行うこと、という要件全てに該当するものとして農業委員会が証明した個人であることが必要とされている。

今回の改正では、これらの要件に加え、「効率的かつ安定的な農業経営の基準として農林水産大臣が定めるものを満たす農業経営を行っていること」という4つ目の要件が追加された。

 改正2つ目は、贈与税・相続税の納税猶予に係る確定事由の見直し。納税猶予を受けている農地等について、地上権、永小作権、使用貸借による権利もしくは 賃借権の設定があった場合には、納税猶予を受けている贈与税額または相続税額の全部または一部の納税猶予が打ち切られ、その税額と利子税を納付しなければならないこととされている。

 今回の改正では、納税猶予を受けている農地等に区分地上権の設定があった場合でも、その農地等において引き続き耕作等を行うときは、納税猶予は打ち切られることなく継続されることになった。例えば、農地の一部に区分地上権を設定して太陽光パネルを設置した場合でも、引き続き耕作を行えば納税猶予は継続される。

 改正3つ目は、贈与税の特定貸付けの特例に係る適用要件の見直し。「特定貸付けの特例」とは、贈与税の納税猶予を受けている農地等について、賃借権等の設定によりア)農地中間管理事業の推進に関する法律による農地中間管理事業のための貸付け、イ)農業経営基盤強化促進法による農地利用集積円滑化事業のうち一定の事業のための貸付け、ウ)農業経営基盤強化促進法による農用地利用集積計画の定めによる貸付け、が行われたときは、その設定がなかったもの(農業経営は廃止していないもの)として、引き続き贈与税の納税猶予が継続されるというもの。

 この特例を受けるは、贈与税の納税猶予の適用期間が20年(貸付日において納税猶予の適用を受ける受贈者が65歳以上である場合は10年)以上であること、という「納税猶予の適用期間に関する要件」をクリアしている必要となる。

 今回の改正では、上記1)の貸付けについては、「納税猶予の適用期間に関する要件」が不要となった。これらの改正は、平成28年4月1日以後の、贈与により取得した農地等に係る贈与税、区分地上権の設定、貸付け、が対象となる。