結婚・子育て資金贈与信託の契約件数は半年間で2695件
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:10/27/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 平成27年度税制改正で創設された「結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)」がまもなく適用開始後7ヵ月を経過するが、(一社)信託協会によると、同協会に加盟している信託会社の本年4月から9月末までの半年間の結婚・子育て支援信託の契約件数合計は2695件、信託財産設定額は63億円で、1件当たり信託財産設定額は単純平均で約234万円となっている。

 同非課税制度は、高齢者層の資産移転や出産・育児等に対する経済的不安の解消を図り少子化対策に資するため、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、親・祖父母等(贈与者)が、金融機関に20歳から50歳未満の子・孫(受贈者)名義の口座等を開設し、結婚・出産・子育て等の費用を一括して拠出した場合、信託受益権の価額又は拠出額のうち子・孫1人につき1000万円(結婚費用の場合は300万円)までの金額については、贈与税を非課税とするもの。

 一足早く平成25年税制改正で創設され順調に伸びている「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税制度」の開始後半年の契約件数及び信託財産設定額(4万162件及び2607億円)と比べると、決して出足は良くないようだ。

 平成25年度税制改正で創設された教育資金一括贈与の非課税制度同様に、長期間にわたる資金管理が必要となることから、金融機関に開設した口座で非課税額の管理や実際に結婚・子育て資金に使われた金銭の管理をすることとなるため、金融機関との間で結婚・子育て資金管理契約を結ばなければならない。信託銀行の場合、管理のための要件を満たす信託契約を、委託者である祖父母等との間で結ぶ。

 教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税制度の創設後の取扱い開始後半年の数字(契約件数4万162件、信託財産設定額2,607億円)と比べると出足は鈍いようだ。

 一方、27年度改正で

(1)

対象となる教育費の範囲に通学定期券代や留学渡航費用等の追加、

(2)

少額の支払の場合は領収書に代えて支払金額等を記載した書類の提出を認めるなどの手当てが行われた教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税制度のこの半年間の教育資金贈与信託の新規契約件数は2万3,101件で、その信託財産設定額は1,609億円だった。

 平成25年4月の取扱開始以降、新規契約数・信託財産設定額の累計は、契約数14万1,655件、信託財産設定額は9,639億円と順調にまた安定的に増加傾向にある。

 なお、教育関連費として支払われた額は9,639億円のうち1,205億円となっている。