相続人以外の包括受遺者は相次相続控除の適用はなし
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:03/23/2016  提供元:21C・TFフォーラム



東京国税局はこのほど、「相続人以外の者が包括遺贈により財産を取得した場合における相次相続控除の適用の可否」についての事前照会に対し、相続人以外の包括受遺者は相次相続控除の適用はないと回答したことを明らかにした。事前照会によると、乙は平成26年9月に死亡し、その相続(「本件第一次相続」)については、遺言により乙の配偶者である甲が全ての財産を取得し、この第一次相続に係る相続税の申告と納付が行われている。

 その後、平成27年6月に甲が死亡したが、その相続(「本件第二次相続」)においては、遺言により乙の甥・姪であるA及びBが全ての財産を取得することとされており、その遺言に基づきその第二次相続に係る相続税の申告と納付を行うこととしている。この第二次相続におけるA及びBは包括受遺者に該当するが、民法第990条《包括受遺者の権利義務》では、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するとされている。

 しかしながら、包括受遺者は、相続人ではないため、事前照会者は、相続税法第20条《相次相続控除》に規定する相次相続控除の適用はないのかを照会してきたもの。相続税法第20条は、第二次相続に係る被相続人が第二次相続の開始前10年以内に開始した第一次相続により財産を取得したことがあるときは、第一次相続での取得財産に課せられた相続税額相当金額に一定割合を乗じて算出した金額を控除するとしている。

 また、相続税法第20条に規定する「相続」には、被相続人からの「相続人」に対する遺贈を含むこととされている。ところで、民法第990条においては「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と規定されていることから、相続税法第20条に規定する「相続人」には、包括受遺者も含まれると解することができるのではないかという疑問が生じるところである。

 しかしながら、相続税法の規定の中には「相続人」に包括受遺者を含む旨を規定しているものがあるが、相続税法第20条は、そのような規定にはなっていない。そして、「包括受遺者」は「相続人」と同一の権利義務を有するものの、財産の取得に被相続人の遺言を要する点で「相続人」と異なることからすれば、相続税法において両者を別に扱っていると解することも適当であると考えられる。

 したがって、「相続人でない者で包括受遺者となる者が遺贈により財産を取得する場合には、相次相続控除の適用はないものと考える」とした事前照会を、東京国税局が認めている。

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