26年分相続税額、約1割減少の1兆3908億円
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:12/28/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁が公表した平成26年分相続税の申告状況によると、26年中に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった25年(126万8436人)を0.4%上回る127万3004人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、同3.3%増の5万6239人で、課税割合は4.4%(25年4.3%)だった。今回の対象は、26年10月31日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。

 課税割合4.4%は、前年より0.1ポイント増加して、過去10年間では最高の割合となったが、相続で税金がかかるのは100人に4人という状況が相変わらず続いている。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、11兆4766億円で前年比1.3%減少し、税額は1兆3908億円で同9.5%減と約1割減少した。
 
 被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比4.5%減の2億407万円となり、7年ぶりの増加となった前年から一転して減少に転じた。税額も2473万円で同12.4%減と大きく減少した。また、相続財産額の構成比は、「土地」が41.5%と約4割を占め、「現金・預貯金等」が26.6%、「有価証券」が15.3%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.2%、「家屋」が5.4%の順となっている。
 
 前年と比べ「土地」は横ばいだったが、「現金・預貯金等」は0.6ポイント増加し、平成に入ってから最高の構成比となった。相続財産に占める割合が高い土地の評価はいまだ低迷しており、相続財産の課税価格が基礎控除額(「5000万円+1000万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。平成23年分から平均路線価額は算出していないが、前年の22年分は、6年を100とすると、49に低迷している。
 
 もっとも、平成6年でも課税割合は5.2%だから、もともと相続税の課税割合は低いともいえる。25年度税制改正では、相続税については、課税ベースの拡大と税率構造の見直しが行われた。具体的には、27年より、相続税の基礎控除について、現行の基礎控除額を「3000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げるとともに、最高税率を55%に引き上げられており、課税割合も大幅に上昇するとみられている。

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