更正通知書の付記理由は文面上明らかでなく、違法と判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:01/29/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 減価償却費の損金算入を否認する更正通知書の理由付記に不備があるか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、処分理由はあくまで更正通知書に記載された文面から明らかであることが必要と判断、原処分を取り消した。

 この事件は、損金に算入した建物附属設備に係る減価償却費と収入から減算した過去に過大計上したとする診療報酬等相当額をめぐって、原処分庁が建物附属設備は架空の資産と認定した上で、診療報酬等相当額を収入から減算することができないと判断して法人税の更正処分等をしてきたため、医療法人である審査請求人が更正の理由付記に不備があると主張、原処分の全部取消しを求めて審査請求した事案である。

 原処分庁側は、架空の資産である各建物附属設備に係る減価償却費を損金に算入していたという事実に対して、架空の資産に係る減価償却費は損金に算入されないという法的評価を行ったものであり、事実に対する法的評価につき見解の相違による更正処分を行う場合に該当する旨主張するとともに、各建物附属設備が架空の資産であることが帳簿書類の記載内容等からすれば、更正の理由によりその資産を特定することで請求人側も当然に認識されるのであるから、その資産が架空であることの理由まで記載する必要がないと主張して、審査請求の棄却を求めていた。

 これに対して裁決は、減価償却費の損金不算入額に係る更正処分の具体的な態様は帳簿の記載自体を認めないで更正処分を行う場合に該当すること、また処分理由はあくまでも更正通知書に付記されている更正の理由の文面から明らかであることが必要であると指摘して、原処分庁の主張にはいずれも理由がないと判断、原処分を取り消している。

(国税不服審判所、2013.04.09裁決)