減価償却資産の事業年度末までの引渡しを否定して棄却
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:02/27/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 標準機に特別付属品・特注品を取り付けた自動旋盤機の減価償却費の計上をめぐって、損金算入された事業年度にその引渡しが行われたものかの判断が争われた事案で、国税不服審判所は減価償却費が計上された期には引渡しが済んでいないことから、減価償却費の計上も消費税の仕入税額控除も認められないと判断して審査請求を棄却した。

 この事案は、プラスチック製品の精密加工業を営む同族会社が旋盤機を取得したとして、その機械に係る減価償却費を損金に算入するとともに、消費税の仕入税額控除を行って申告したことが発端。この申告に対して原処分庁がいずれの旋盤機も製造過程にあり、減価償却費の計上、消費税の仕入税額控除も認められないと否認するとともに、納品が無理であるのを承知の上で製造会社に納品書を発行させたのは仮装にあたると認定、更正の上、重加算税の賦課決定処分をしてきたため、その取消しを求めていたという事案だ。

 裁決はまず、契約の目的物を引き渡す方法として法は現実の引渡し、簡易の引渡し、占有改定、指図による占有移転の方法を認めていると解釈。つまり、これらのいずれかの状態にあれば引渡しがされたものと見られるわけだが、各旋盤機械の納品書、預り依頼書、製造会社の会計処理をみても、審査請求人が主張する期に引渡しがされたとは認められないと斥けた。

 また、引渡しの時期に仮装が認められるか否かについても、納品がされないことを承知の上で、製造会社に対して納品書の作成を依頼して交付を受けたことが認められ、単純な会計処理上の過誤に止まるものではないことは明らかであるから仮装に当たると認定、同族会社の審査請求をすべて棄却する裁決を下した。

(国税不服審判所、2006.05.22裁決)