さん橋と鋼矢板岸壁は類似物と判断、原処分を全部取消し
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/02/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 法人が取得した減価償却資産のさん橋の耐用年数の判定が争われた事案で、国税不服審判所は金属造りの鋼矢板岸壁の25年が適当と判断して、原処分を全部取り消した。

 この事案は、長さ165m、幅21mから30mまでのさん橋と幅22mから28mまでのさん橋を建設、事業の用に供した製造業を営む同族会社が審査請求していたもの。このさん橋は減価償却資産の構築物に該当し、その構造は上部床部分が鉄骨鉄筋コンクリート造り、上部の床部分を鋼管杭で支えるというものであった。

 そこで法人は申告の際に、このさん橋を耐用年数省令別表第一に掲げる第一欄の「構築物」の第二欄「金属造り」の第三欄「鋼矢板岸壁」の25年に当たると判断して、さん橋の減価償却費を計算して損金の額に算入して申告したことが発端になっている。申告後、税務調査を受けてその減価償却費の計算が否認され、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分を受けたため、その同族法人が原処分の取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 原処分庁は、さん橋の法定耐用年数は、耐用年数省令別表第一に掲げる「構築物」の「金属造りのもの」の第三欄は「鋼矢板岸壁」の25年ではなく、「その他のもの」の45年に該当するという判断に基づいて更正処分を打ってきたわけだ。

 これに対して裁決は、さん橋と鋼矢板岸壁は「構造又は用途」及び使用状況が類似していると認定、「構築物」の「金属造りのもの」の「鋼矢板岸壁」の25年を適用することができると判断して、原処分庁の主張をすべて斥ける裁決を下している。

(国税不服審判所、2005.06.09裁決)