ラブホテルの経営主体は宗教法人に実質的に帰属と判断、棄却
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:02/19/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 宗教法人所有のラブホテル事業に係る損益等を宗教法人の収益事業から除外して法人税の申告をしたことをめぐって、ラブホテル経営に係る損益等の帰属先が争われるとともに、青色申告承認取消処分に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(定塚誠裁判長)は、旅館業経営許可を誰が得ていたかは特に重視すべき事情ではないとした上で、ラブホテル等の事業の経営主体は宗教法人にあると客観的・実質的に認定できることからその損益等も帰属すると判示、宗教法人の主張を全面的に棄却する判決を言い渡した。

 この事件は、複数のラブホテル等を所有する宗教法人が同事業に係る損益を収益事業に係る損益から除外して、法人税・消費税等の申告をしたのが発端。これに対して原処分庁がホテル事業に係る損益は宗教法人に帰属すると認定した上で青色申告承認取消処分、法人税・消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分をしてきたため、宗教法人側がその取消しを求めて提訴したという事案である。

 つまり原処分庁は、ホテル事業の売上金の会計処理や経費の支出関係の全てを宗教法人グループの実質の代表者が行っていた事実関係を把握した上で、宗教法人に帰属すると認定したわけだ。

 これに対して判決は、事業の損益等の実質的な帰属主体は経営方針決定や収支管理の状況、資産の権利関係、従業員の雇用関係、対外的な表示状況等を総合して、実質的・客観的な基準から判断すべきと指摘した上で、宗教法人の収益事業の運営はグループの実質的な代表者が経営方針を決定し、収支管理や会計処理に関する最終的な判断を行っていた事実等も認定。

 また、各ホテルの施設等の使用権限を有しているのは宗教法人のみであり、経営主体が宗教法人であることを推認させる重要な事実であると認定。というのも、ホテル内に宗教法人への喜捨を求める文言を記載した看板等が設置されていたためだ。結局、旅館経営業許可の取得如何は、宗教法人が経営主体であるとの推認を直ちに妨げるものではないと指摘して棄却している。

(東京地裁平成24年9月4日判決、平成23年(行ウ)第133号)。