破産会社の関係会社に対する求償権行使は不可能と判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:08/05/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 関係会社の負債の弁済義務を負うとされた確定判決に基づいて破産会社が関係会社の負債を支払った弁済額の損金算入の可否が争われた事案で国税不服審判所は、確定判決に基づく弁済額の支払いであっても、破産会社が関係会社に求償権を行使できない状況にあるから、弁済した額の損金算入が認められると判断、原処分を全部取り消した。

 この事案は、収入金額の漏れを理由に原処分庁が破産会社に更正処分を行ったことが発端になったもの。つまり、取引のある会社が法人格否認の法理に基づいて、破産会社の関係会社に有していた貸金債権の履行を破産会社に求めた訴訟で、その請求が全部認容された確定判決に従って破産会社が支払った遅延損害金の損金算入の可否が争点になっていたという事案だ。

 原処分庁は、遅延損害金の支払義務を負う確定判決があったとしても、破産が遅延損害金を弁済すれば関係会社に対する求償権を取得することになるため、最終的な負担額が確定していない。また、求償権が回収不能だとしても貸倒損失の損金算入には損金経理が前提になるとも指摘。つまり、破産会社はそれらをしていないから、貸倒損失の主張は認められないと主張して請求の棄却を求めていた。

 これに対して裁決は、破産会社が貸金債権の弁済義務を負うに至った経過や関係会社の財産状況等を考えれば、破産会社が配当金相当額の最終的な負担者になることは明らかと認定。そうした状況にある求償債権を形式上、資産計上しなればならないとするのは相当ではないと指摘して、原処分を全部取り消す旨の裁決を下している。

(国税不服審判所、2007.11.20裁決)