違法行為を除き売買契約は当事者間で自由に決定されると判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:07/10/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 有価証券の売買契約をめぐって、株式の売買代金の返還として譲渡人から受け取った代金が雑益に当たるか、株式購入の代価であるかが争われた事案で、国税不服審判所は譲受人に発生した損害補填金ではなく売買代金の返還であると認定、原処分を全て取り消した。

 この事案は、リース業を営む審査請求人が有価証券の売買契約に基づいて譲渡人から受け取った金員に対して、原処分庁が雑益であると認定して更正処分等をしてきたことからその取消しを求めて争われてきた事案だ。つまり、売買契約を交わす際に条件付きで売買価額を決定し、条件が譲受しない場合は代金を一部返還するという契約内容になっていたことから、条件不成就によって返還された金員は損害の補填金か、売買代金の返還かが争われていたもの。

 原処分庁は、売買契約の締結時点ではその発生が不確実であった事象に基因して株式の価値が減少したことにより生じた損失に対する補填であり、受領した事業年度の益金の額に算入されるべきであると主張していた。

 これに対して裁決は、売買契約が、株式の売買時点において株式の発行会社の予想利益や既存債権のデフォルト見込額について当事者間で合意できなかったことから、前提条件の一方が満たされなかった場合は、売買代金を減額する条件が付されていたことが認められると認定するとともに、そうした条件を付すのは違法行為である場合を除き、当事者間で自由に決定されるべきものであると指摘。その判断にそって、売買契約に基づいて算出された株式の売買代金の返還額であるとも認定、原処分庁の主張を斥けている。

(国税不服審判所、2006.09.08裁決)