法人税法施行令134条の2は法人税法65条の委任の範囲内
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:10/20/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 法人税法22条3項2号の債務確定基準との関係から使用人賞与の損金算入の可否が争われた事件で、大阪地裁(西川知一郎裁判長)は法人税法134条の2に基づき実際に賞与を支給した事業年度の損金になると判示、更正処分等を妥当とする判決を言い渡した。

 この事件は、賞与引当金の規定が平成10年に削除された後に、支給した使用人賞与の損金算入の時期が争われていたもの。つまり、法人側は使用人賞与の支給を決定した事業年度の損金として申告したところ、原処分庁が法人税法134条の2に基づいて法人側の損金算入を否認、更正処分の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたわけだ。

 そこで法人側が、法人税法施行令134条の2は法人税法22条3項に反し、法人税法65条の委任の範囲を逸脱しているから無効であり、使用人賞与は法人が処理した前期事業年度の損金に算入すべきであると主張して、原処分の取消しを求めていた事案である。

 これに対して判決は、平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令134条の2は、法人税法22条3項1号、2号の規定内容の技術的、細目的事項を定めたものであり、法人税法65条による委任の範囲を逸脱するものではないと判断。その結果、使用人賞与を法人が処理した事業年度の損金に算入すべきか否かは法人税法施行令134条の2によって判断すべきであると指摘した上で、法人が損金に算入した事業年度は支給を決定しただけで、実際に支給したのは翌事業年度のことであるから、法人が主張する事業年度の損金に算入することはできないと判示して法人側の主張を斥けている。

(2009.01.30 大阪地裁判決、平成18年(行ウ)第42号)