寄与度利益分割法による独立企業間価格の算定は妥当と判示
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:10/23/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 海外法人と輸入取引する国外関連取引における独立企業間価格の算定が、寄与度利益分割法を用いてされたことの適否が争われた事件で東京地裁(定塚誠裁判長)は、独立企業間価格を算定する際の基本三法のいずれをも用いることができないと認められるため寄与度利益分割法による算定は適法であると判示して、法人側の主張を棄却した。

 この事件は、農産物の輸入・卸売販売を行う日本に本店がある法人と国外関連者のバハマ法人との間でバナナを輸入する国外関連取引をめぐって、国内法人がバハマ法人に支払った対価の額が独立企業間価格を超えていたため、独立企業間価格と国外関連取引の対価の額との差額は国内法人からバハマ法人に対する所得移転と認定され、更正処分等されたのが発端。

 そこで法人側が、原処分は、1)寄与度利益分配法を用いて独立企業間価格を算定した際、日本市場の特殊性から生じた国内法人に係る営業損失を分割対象利益から控除しておらず、2)国内法人とバハマ法人が支出した販管費の割合で分割対象利益を分割したものであると主張して、更正処分の取消しを求めたという事案である。

 これに対して判決はまず、いわゆる基本三法を用いることができないと認められなければ原処分は違法になると指摘。しかし事実認定の結果、再販売価格基準法、独立価格比準法、原価基準法の基本三法はいずれも適切な比較対象取引がないため、これを用いて独立企業間価格を算定することはできない認定した。つまり、国内法人とバハマ法人との国外関連取引については基本三法のいずれも用いることができないという認定をしたわけだ。

 結局、この事案の独立企業間価格を算定するために、原処分庁が寄与度利益分割法による算定方法を用いたことは適法であると判断して、法人側の請求を斥けている。

(2012.04.27 東京地裁判決、平成21年(行ウ)第581号)。