正に収用される土地の上にある資産の移転補償が特例の対象
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:05/11/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 収用された土地の上に存していなかった建物に係る移転補償金が、収用換地等の場合の所得の特別控除制度の適用対象となる補償金に該当するか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は、正に収用される土地の上の資産に対する補償ではないから、同特別控除制度の適用対象となる補償金には該当しないのは明らかと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、ガソリンスタンドを営む審査請求人が、自治体(県)から建物の移転補償金等の名義で取得した補償金に措置法64条の2(収用換地等の場合の所得の特別控除)を適用して申告したところ、原処分庁が補償金の対象となった建物等は事業用地として買い取られた土地の上にあった資産ではないと認定して特例の適用を否認、法人税の更正処分等をしてきたため、請求人がその取消しを求めて審査請求した事案だ。

 つまり請求人は、所有する建物と固定給油設備等は収用された土地等と一体として使用していた資産であるから、特例は適用されるべきであるとして原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、租税特別措置法64条2項2号が定める「その土地の上にある資産」とは正に収用されることとなる土地自体の上にある資産をいい、それは文理上も明らかと解釈。しかしながら、請求人が取得した物件移転等補償金は事業用地の地域外に存する資産の移転について補償したものであり、収用されることとなる土地の上の資産について補償したものではないことから、収用換地等の場合の所得の特別控除制度の対象となる補償金には該当しないことは明らかと判断して、請求人の主張を斥けている。

(棄却・平成21年5月25日裁決)