競売予納金を控除後の額が担保権実行の取立見込額と判断
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:06/07/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 個別貸倒引当金繰入限度額の計算上、担保不動産の評価額から競売予納金を控除できるか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算の際には、競売価額から競売予納金を控除した額が担保権実行による取立見込額となると判断、原処分を一部取り消す裁決を下した。

 この事件は、審査請求人が個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算上、担保権の実行によって取立等の見込みがあると認められる部分の金額について、担保物件の評価額から競売予納金を控除して申告したことが発端になったもの。これに対して原処分庁が、競売予納金の控除を否認、法人税の更正処分等をしてきたため、その取消しを求めた審査請求事案である。

 原処分庁は、法人税法施行令96条1項3号を拠り所に、個別評価金銭債権から控除する担保権の実行によって取立等の見込みがあると認められる部分の金額は、貸金等のうち担保物の処分見込額に相当する金額になると解釈して、競売予納金を控除すべきではないと主張していたわけだ。

 しかし裁決は、債務者から競売費用相当額部分を回収する見込みがない各貸出金については、担保権によって担保されている部分の金額は、その売却価額から競売費用相当額を控除した残額とみるのが相当と指摘。また、各裁判所は競売手続に充てる費用として合理的と認められる金額を競売予納金としていることからすれば、事業年度末に見込まれる競売費用相当額は競売予納金とするのが相当とも指摘。結局、事業年度末において各貸出金のうち「担保権の実行によって取立等の見込みがあると認められる部分の金額」は、物件の売却価額から競売予納金を控除した額とみるのが相当と判断、一部を取り消している。

(国税不服審判所、2010.03.12 裁決)